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救いと向き合うために

創世記22:1~19  (引用聖句は、日本聖書協会 口語訳聖書より)
今年3月の東日本大震災で、多くの人々が味わっている苦しみ。何でこんな目に
遭わなければならないんだ、いったい、どうしてなのか…なんで、こんなひどいことが
起こるのか、こんな、本当に血も涙もないようなことが、どうして起こされるのか…
神さま、私たちは、いったいどうなってしまったんでしょうか。まったく答が見えない。
筋の通らない話、解決の方向の見えない事件、世の中にはあまりにも不条理なことが
多い。いったい救いの光はどちらにあるのでしょうか。
創世記22:2 神は命じられた。「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、
         モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、
         彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。」

アブラハムにとっては、25年間待ち望んでようやく与えられた宝物、それが息子イサクでした。
ところが神さまはおっしゃる、明日の朝、山へ登って息子イサクを生け贄にしなさい。アブラハムは、
妻のサラには内緒にして山を登り始めたのではないかと思います。もちろん、山の上にたどりつく
までは、息子のイサクにも打ち明けていません。神さまのご命令を一人で背負い、山を登り続ける。
創世記22:7やがてイサクは父アブラハムに言った、「父よ」。彼は答えた、
        「子よ、わたしはここにいます」。イサクは言った、
        「火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか」。
創世記22:8アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えて
        くださるであろう」。こうしてふたりは一緒に行った。

ある聖書講解書には、アブラハムは信仰が厚かったので、最初からイサクの替わりに小羊が
与えられることを信じていた、だから神さまからのご命令にも、素直にハイ、と応えて従うことが
出来たのだ…もしこういう聖書理解が正しいとしたら、アブラハムって、いったいどういう人なん
でしょうか。極端な話、山を登りながらも、痛くもかゆくもなかった、ということになるのでしょうか。
今の私にはこう思えるのです。イサクの方から「生け贄にする小羊はどこですか」と尋ねられた際、
アブラハムは救われたんじゃなかろうか、と。沈黙を守って山を登っていた際には、神さまのご命令に
対して、なんでもハイ、と素直に聴き従う自分だけが表に出ていた。しかし、イサクが生け贄について
尋ねてくれたお陰で、ようやくアブラハムは自分の中には、もう一人の自分がいた、ということに
気付かされたのではないでしょうか。
創世記22:8アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」。
        こうしてふたりは一緒に行った。

アブラハムはイサクに応えているようでありながら、じつは神さまに向かって挑戦しているように、
私には読めるのです。「神さま、息子イサクを山の上で焼き尽くせ、というご命令は承知しています。
でも、しかし、この息子イサクを通してたくさんの子ども、たくさんの孫、さらにはその後の人々が
たくさん生まれる、そういう祝福の約束したのは神さま、他ならぬあなたなんですよ」。
やがて山の上で息子イサクに刃物を振り下ろそうとするアブラハムに、神さまは待ったをかけます。
そして神さまはイサクの替わりとなる小羊を用意していてくださいました。しかし、イサクの命が助かった、
というだけなら、これは救いの半分でしかないと思うのです。やはりアブラハム自身としても解放された。
封印されていた自分、神に対して疑問を抱きうる自分、神さまを批判しうる自分、そういう自分もまた
解放され、救われたのではないでしょうか。
世の中には、まったく答が見えないような、筋の通らない話、解決の方向の見えない事件、
わけのわからない苦しみ、あまりにも不条理なことが多い。私は思うのです、そういう不条理のことを、
聖書では、この世は罪の世である、と言い表しているのではないか。もし、そうだとしたら、やはり救いの
光はここにあるのではないでしょうか。あらゆる人々がアブラハムのように解放されるということは、
その疑問の渦、悲しみの渦、怒りの渦、さらには憎しみの渦をすべて、あらゆる人に替わって、
背負ってくださる神さまがいらっしゃるということでしょう。そして、あらゆる疑問、悲しみ、怒り、
それらをすべて、一手に引き受けてくださった十字架の神イエス・キリストなのです。
by hachimejibap | 2011-08-21 23:01 | メッセージ

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